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The Angel Cradle.

飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。

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人生と言う長くて、でも短い時間の中で。
その出会いは自分にとって、何よりも必要なものだったのだと思う。
きっと、と言い切るのは気恥ずかしいから。
多分、と言って誤魔化しておくことにする。
だから、相棒。
この先も一緒に、並んで歩いて行こうな。

140文字SSお題『きっとたぶん』


**********

ついった用のものだけども、保存用にこちらにも。
140文字で書くお題ったーで出たお題をこなしてみたものです。

貴方はツートップで『きっとたぶん』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://shindanmaker.com/375517

リーダー視点でツートップ。
140文字と言うお題だけれども実際は120文字くらいだな。(笑)

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「ゆーきだぁー!!」

健は喜び庭駆け回り。

雪といえばお馴染みの曲の歌詞を、つい頭の中でそう変換してしまってから。
坂本は降りしきる雪の中でぴょんぴょんと跳ねる健に苦笑を向けた。

「おい健、そんなカッコで雪浴びてると風邪ひくぞ」
「だいじょーぶだよ、俺坂本くんと違って若いもん♪」
「・・・・・」

今年三十路に突入するヤツが何を言うんだか。
けれども見た目だけの話をすれば、確かにそれは頷いて然るべき事の様に思えるのだからまったく三宅健と言う男は得である。
愛くるしい顔に、キーンと高い声。
良くも悪くも無邪気な明るさ。
自分にはないものを持っている彼を羨ましいと・・・思えるかどうかは別として。

「あ、坂本くん坂本くん、あれ歌ってよあれ」
「あ?」
「ほら、東京初雪の夜とかって歌詞が入ってる歌あったじゃん、確か」

坂本くんのソロのやつ、と言われて記憶を探る。
と、すぐに答えは見つかった。
『東京初雪の夜』と言えばコバルトブルーに他ならない。

「・・・ってお前、これ初雪でもなければ今は夜でもないぞ?」
「そんな細かいことこだわんなよー!いーじゃんそういう気分なんだからっ!!」
「お前・・・」

俺に対するそのわがままっぷり。
ほんと最近どこかの誰かさんに似てきたんじゃないかい?
そんな言葉を苦笑いで逃がして、寒空の下、はやくーとせがんで白い息を吐く健を手招いた。

「歌ってやるから、とりあえずこっち来い。マジで風邪ひくから」
「はーい♪」

良い子のお返事を返してたかたかと駆けてくる健に、つい頬を緩めてしまう自分はやっぱり親バカかもしれないなんて思う。
でもそんなことで自分は自分で良かったとか、こいつはこいつで良かったとか。
当たり前のことを再確認できる幸せにそっと目を細めた。



それはとある日の東京。
初雪・・・の次の雪の昼のこと。



********************


※2009年2月27日の日記掲載分を収納。
雪と健ちゃんで書きたくなった結果こんなん出来ました。(笑)
気づいたら7月バースデーコンビになってたよ。
ちなみに結局東京の雪は数時間でやんでしまって積もることもなかったです。ちょっと残念。

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昨夜は雷が鳴り響き、本日は強風が吹き荒れて。
春なのに…いや、春だからこそ?
大荒れに大荒れな東京、始まりの4月。

「しかもいつまでも寒いしさぁ。もーなんつーかこれ本当に春なわけ?」
あまりにも春っぽくない気候に不満たらたらな顔でそう言ってみたら、返ってきたのはリーダーの真面目くさった顔と冷静な声で。
「いや、当たり前だろ」
「…ってんな冷静に突っ込むなよ!知ってるよ?春なことくらい知ってますよ?いのっちはそんなバカじゃないですよ!?」
「おいおい自分で聞いたくせに逆ギレかよ」
「やだねぇキレやすい中年は」
「なぁ」
ってうぉい!俺か!?悪いのは俺ですか!?
って言うかちょっと!今さらっと聞き流しそうになったけども、長野くん!
曲がりなりにもアイドルに向かって中年とか言うなよ!!
いや、まぁ確かに間違いじゃないけどもね?
けどそもそもさぁ…
「中年って、アラフォーのあんたらには言われたくねぇよ…」
「それにしてもほんとすごい風だねぇ坂本くん」
「ほんとすげぇ風だよなぁ、長野」
「あれ?無視?無視ですか?」
「寒さはともかくとして、この強風じゃ桜が可哀想だよね」
「まだ咲ききってもないのにこの強風だからな」
…いいよ、いいですよ。
どうせ俺はそんな扱いなんだよな…分かってるよ、分かってるさ…ふっ。
「おーい井ノ原~?戻ってこーい」
「遠い目しても細目じゃ分かりづらいから戻っておいで、よっちゃん」
…ちくしょう、なんだか釈然としねぇ。


※2009年4月2日の日記掲載分を収納。

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湿気と蒸し暑さで充満したオフィスの空気に嫌気がさして、自主休憩を決め込み飛び出したビルの外。
空模様は生憎の様相を呈していて、肺から吐き出した淀んだ空気は、重く地面へと転がった。
この時期はどうしても気分が暗く沈みがちだ。
中途半端な気温と、じめじめとした湿気と、それを生み出す雨、雨、雨。
うまく気分を切り替えられるほどポジティブではない自分は、ワイシャツをわずかに濡らす弱々しい雨の粒ですらなんとも忌々しく思えて小さく舌打ちした。
今し方出てきたばかりだが、仕方がない、戻るか。
そう思って踵を返そうとした時、それは聞こえてきたのだ。

「          」

最初はかすかに。
次第にはっきりと耳に届いたそれは、思うに誰かの歌声で。
オフィス街の雑踏の中において、どうしてかクリアに聞こえるそれに戸惑いを隠せないでいると、唐突に目の前でポンと傘の花が咲いた。
当然驚き、一歩引いたその前には、一人の男の姿。

「こんにちは」

柔らかい声がそう言った。
が、あまりに突然の出来ごとすぎて上手く言葉を返せない。
まるで魚のように口をパクパクさせれば、目の前の男はくすりと笑った。

「そんなに梅雨が嫌い?」

内心を見透かしたかのような言葉に、少しだけ茶色がかった瞳が優しく細められる。
やはり言葉を返せないでいる自分に、男はさしていた傘をすっと差し出すと言った。

「あげる」
「え?」

やっと出た声がそれとはなんとも情けないような気がする。
そしてつい条件反射的に差し出された傘を受け取ってしまったが、どう考えても受け取るべきではないだろう。
すぐさま返そうとしたが、柔らかい笑顔と意外なほど力強い手にあっけなく押し返されてしまった。

「それなら、いつでも晴れ空だから」
「は・・・?」

ちょんちょん、と傘の内側を指さされて初めて気づいた。
傘の内側に、鮮やかな青空が広がっていることに。

「ね?」

にっこりと笑った男は何が楽しいのか、軽やかな足取りで雨の中を歩きだす。
そしてまた、聞こえてくるのはあの歌声だ。

「あ、おい!」

止めるのも聞かず、男は雑踏の中を跳ねるように遠ざかっていく。
不思議な事に、行き交う人々は誰も彼に気づいていないようだった。
まるで雨の中を踊る様に進んで行く彼に、不意にいつか見た映画のワンシーンが重なる。

「大丈夫、俺は雨が好きだから!」

弾んだ声が聞こえたと思ったら、その姿はもう傘の群れの中に消えてしまっていて。
あっけにとられて立ちつくす、その手に残ったのは青空を模した傘。

「・・・一体、なんだったんだ?」

まるで狐につままれたような気分だ。
けれど、未だ耳に残るあの歌声はどこまでも楽しく、晴れやかで。
知らず緩んでいた口元を誤魔化す様に、その歌声をそっとなぞった。



【Singing In The Rain】



**********

※日記掲載文を収納。

何故か傘の日(6/11)からこんな話が出来ましたって言う。
不思議系?ファンタジー系?
こういう雰囲気の話を書いたのは初めてかもしれんね。
名前出してないけど一応イメージは上二人です、はい。
博さんは多分・・・梅雨の妖精さんと見せかけてカエルの妖精さんなんじゃないかな!(笑)
ちなみに湿気と蒸し暑さで充満したオフィスの空気に嫌気がさしたのは俺です。(え)
社内があっついよー・・・(倒)

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「おーかーだ~お前まぁーた木彫りなんかやってんのかよ」
「相変わらず変に器用だよねーお前」
「ゴウくん、ケンくん」
長野家お屋敷の裏庭にて。
切り株に腰掛けせっせと趣味の日曜大工(と言う名の木彫り)を行っていたバトラー見習い(現フットマン)の岡田准一は、近付いてくるきゃいきゃいとした声にその端正な顔を上げた。
うららかな春の日の昼下がり。
暖かな日差しの中を弾むようにやってくる二つの毛玉は、岡田がその名を呼んだ通り、彼の主人である長野伯爵が片手間で始めた黒魔術で召喚した魔獣、ゴウとケンである。
ぱっと見ウサギにしか見えない二匹は本人たち曰わく、強大な力を秘めた魔獣だそうで、赤いスカーフを巻いた目つきが悪いゴウの方は炎と雷を、青いスカーフを巻いた八の字眉毛なケンの方は水と氷を自由自在に操る事が出来るらしい。
一度出入りの庭師である井ノ原がその力によって散々な目に遭ったのを目撃したことがあるだけに、穏健派(と言う名のマイペース)の岡田としては、主人の長野に並んで出来るだけ怒らせたくない相手である。(ちなみに直属の上司である坂本にはあまりに怒られ過ぎてすっかり怒られ慣れてしまった彼である)

「今日は何作ってんだ?」
「見せて見せて♪」
元気な毛玉×2はととんと軽く岡田の両肩に駆け上ると、そこからじいっと彼の手元を覗き込んだ。
結局のところ、何だかんだ言っても彼らは岡田が器用に作り出す木彫りの作品に興味津々なのだ。
美形の見習いバトラーはくすりと笑って、手の中の物を二匹の目線まで上げて見せるとこう問いかけた。
「はい。これは何でしょう?」
「えぇ?」
「ってなんだよいきなり」
問いかけられた二匹は難しい顔になって、岡田が掲げた小さな木片をじっと見つめた。
彼の両手には同じサイズの二つの木片がある。
まるでひょうたんのような二つの丸みからなるそれはまだ作りかけで、はっきりとした形が彫り出されてはいなかった。
故にこれでは何を作ろうとしているのか皆目見当がつかない。
二匹は口先を尖らせて不満を口にした。
「こんな作りかけじゃ分かんねぇよ」
「そーだよ!ヒントはないわけ?」
肩の上でじれた二匹がぴょんぴょこと跳ねる。
ふわふわの毛が耳を掠めるくすぐったさにんふふと笑いながら、岡田はうーんと首を軽く後ろに傾けた。
「ヒント…と言うか答えはすぐそばにあるよ」
「「すぐそば?」」
「うん」
意味が分からずきょとんとした顔の二匹に岡田は楽しそうな笑みを向けると、二つの木片を左手の手のひらに並べて乗せた。
「確かにまだ作り途中だけど、ほら、ここら辺なんかはもうちゃんと形になってるし」
そう言って岡田が右手の指先で撫でたのは、丸みからにょにょっと伸びる二本のツノのようなもの。
それを見た二匹は途端にはっとした表情をして、全く同時に顔を見合わせた。
「ねぇねぇこれってもしかしてさ!」
「だよな!絶対そうだよな!」
双子だからこそ成せるワザか、主語の無い会話を成立させて頷き合う二匹は、両サイドからパッと岡田を見ると、つぶらな瞳をキラキラとさせて言った。
「「俺たち!?」」
「大正解」
にっこりと笑って岡田が頷く。
その答えに二匹はぱあっと顔を輝かせて興奮気味にまくし立てた。
「よっしゃあ!だよな!絶対そうだと思ったし!」
「まるっとしてるトコとかこの長い耳とかカンペキ俺たちだもんねっ!」
確かに分かってみればひょうたんのような形はウサギの頭と胴で、その頭から伸びている二つの角はウサギの長い耳のそれだ。
「出来上がったらゴウくんとケンくんにプレゼントするから、大事にしてな?」
ちゃんとスカーフも付けるからな、とお国言葉の訛りを覗かせてふにゃりと笑う岡田に、二匹はこれ以上ない嬉しそうな顔をして大きく頷いたのだった。



そんな風に穏やかな午後のひと時を、木陰で震えながら見守る(?)男が一人。

「可愛い…!すこぶる可愛い…!」

美男子と小動物が戯れる姿に今にも鼻血を吹き出しそうな勢いの細目の庭師がいたとかなんとか。


**********


無邪気な小動物の剛健と戯れる岡田さんと言うのが書いてみたくて、夏。(何)
主役の話よりもスピンオフ(笑)が先に出来るとはどういうことなのか。

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*AVIARY*

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