The Angel Cradle.
飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。
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「ゆーきだぁー!!」
健は喜び庭駆け回り。
雪といえばお馴染みの曲の歌詞を、つい頭の中でそう変換してしまってから。
坂本は降りしきる雪の中でぴょんぴょんと跳ねる健に苦笑を向けた。
「おい健、そんなカッコで雪浴びてると風邪ひくぞ」
「だいじょーぶだよ、俺坂本くんと違って若いもん♪」
「・・・・・」
今年三十路に突入するヤツが何を言うんだか。
けれども見た目だけの話をすれば、確かにそれは頷いて然るべき事の様に思えるのだからまったく三宅健と言う男は得である。
愛くるしい顔に、キーンと高い声。
良くも悪くも無邪気な明るさ。
自分にはないものを持っている彼を羨ましいと・・・思えるかどうかは別として。
「あ、坂本くん坂本くん、あれ歌ってよあれ」
「あ?」
「ほら、東京初雪の夜とかって歌詞が入ってる歌あったじゃん、確か」
坂本くんのソロのやつ、と言われて記憶を探る。
と、すぐに答えは見つかった。
『東京初雪の夜』と言えばコバルトブルーに他ならない。
「・・・ってお前、これ初雪でもなければ今は夜でもないぞ?」
「そんな細かいことこだわんなよー!いーじゃんそういう気分なんだからっ!!」
「お前・・・」
俺に対するそのわがままっぷり。
ほんと最近どこかの誰かさんに似てきたんじゃないかい?
そんな言葉を苦笑いで逃がして、寒空の下、はやくーとせがんで白い息を吐く健を手招いた。
「歌ってやるから、とりあえずこっち来い。マジで風邪ひくから」
「はーい♪」
良い子のお返事を返してたかたかと駆けてくる健に、つい頬を緩めてしまう自分はやっぱり親バカかもしれないなんて思う。
でもそんなことで自分は自分で良かったとか、こいつはこいつで良かったとか。
当たり前のことを再確認できる幸せにそっと目を細めた。
それはとある日の東京。
初雪・・・の次の雪の昼のこと。
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※2009年2月27日の日記掲載分を収納。
雪と健ちゃんで書きたくなった結果こんなん出来ました。(笑)
気づいたら7月バースデーコンビになってたよ。
ちなみに結局東京の雪は数時間でやんでしまって積もることもなかったです。ちょっと残念。
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