The Angel Cradle.
飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。
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■坂本昌行(35)
某鉄道会社社員、某路線某駅の駅務員。
勤続年数5年で長野とは同期。
その美声により駅構内のアナウンスに定評がある。
特別鉄ヲタではないが、前職である旅行添乗員時代に第1種時刻表検定1級を取得。
ゆえに岡田に懐かれている。
■長野博(35)
某鉄道会社社員、某路線某駅の駅務員。
勤続年数5年で坂本とは同期。
見た目は優しげだが腕っ節が強いのでラッシュ時には特に頼りになる。
一度駆け込み乗車ではさまれそうになった剛を助けてから懐かれている。
特技は苦情処理と酔っ払いの対処。
■井ノ原快彦(30)
某鉄道会社社員、某路線某駅の駅務員。(目標は運転士)
この秋に中途入社したばかりの新人でかなりの鉄ヲタ。
まだ不慣れなため、朝のラッシュ時に乗客に巻き込まれて電車に押し込められてしまうことがたまにある。
その度に長野に引っ張り出されてなんとか事なきを得ている。
毎朝絡んでくる高校生健は実は甥っ子。(姉の子)
■三宅健(17)
高校二年生。
井ノ原の姉の子で甥っ子。
毎朝叔父に絡むのが日課ゆえ、他の駅員さんともいつの間にか顔見知りに。
鉄道に興味は皆無だが、叔父に付き合っているうちに妙な知識が増えてしまっているのが最近の悩み。
■森田剛(17)
高校二年生。
寝坊の常習犯で駆け込み乗車をちょくちょくする。
以前ドアにはさまれそうになった時に助けてくれた駅員(長野)に憧れを抱いており、将来この仕事につくのもいいかなと思い始めている。
鉄道への興味は一般男子並み。
■岡田准一(16)
高校一年生。
ホームの王子様と密かに呼ばれているほどの美形だが、実は井ノ原に引けを取らないほどの鉄ヲタ。
時刻表とスペーシアをこよなく愛している。
ひょんなことから時刻表に詳しい坂本と知り合い、以来彼をものすごく尊敬している。
某鉄道会社社員、某路線某駅の駅務員。
勤続年数5年で長野とは同期。
その美声により駅構内のアナウンスに定評がある。
特別鉄ヲタではないが、前職である旅行添乗員時代に第1種時刻表検定1級を取得。
ゆえに岡田に懐かれている。
■長野博(35)
某鉄道会社社員、某路線某駅の駅務員。
勤続年数5年で坂本とは同期。
見た目は優しげだが腕っ節が強いのでラッシュ時には特に頼りになる。
一度駆け込み乗車ではさまれそうになった剛を助けてから懐かれている。
特技は苦情処理と酔っ払いの対処。
■井ノ原快彦(30)
某鉄道会社社員、某路線某駅の駅務員。(目標は運転士)
この秋に中途入社したばかりの新人でかなりの鉄ヲタ。
まだ不慣れなため、朝のラッシュ時に乗客に巻き込まれて電車に押し込められてしまうことがたまにある。
その度に長野に引っ張り出されてなんとか事なきを得ている。
毎朝絡んでくる高校生健は実は甥っ子。(姉の子)
■三宅健(17)
高校二年生。
井ノ原の姉の子で甥っ子。
毎朝叔父に絡むのが日課ゆえ、他の駅員さんともいつの間にか顔見知りに。
鉄道に興味は皆無だが、叔父に付き合っているうちに妙な知識が増えてしまっているのが最近の悩み。
■森田剛(17)
高校二年生。
寝坊の常習犯で駆け込み乗車をちょくちょくする。
以前ドアにはさまれそうになった時に助けてくれた駅員(長野)に憧れを抱いており、将来この仕事につくのもいいかなと思い始めている。
鉄道への興味は一般男子並み。
■岡田准一(16)
高校一年生。
ホームの王子様と密かに呼ばれているほどの美形だが、実は井ノ原に引けを取らないほどの鉄ヲタ。
時刻表とスペーシアをこよなく愛している。
ひょんなことから時刻表に詳しい坂本と知り合い、以来彼をものすごく尊敬している。
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その日、井上薫は警視庁前で珍しい人物と顔を合わせた。
「…あ」
「あれ?あっ!」
声をかける前にどちらからともなくぱちりと合った視線。
それでこちらを認識したらしい相手は、途端にぱあっと笑顔の花を咲かせた。
それがあまりに見事だったもので、井上はついつられ笑いをしつつ、久しぶりに見た笑顔の主の名を呼んだ。
「浅輪さん」
「薫くん、すごい久しぶり!」
「お久しぶりです」
答えて返して、ふと『薫くん』と自分を呼ぶ人間は多分この人くらいだよなぁ、なんて思う。
井上はなんとなく緩んだ口元をそのままに、元来細い目をさらに細めながらやたらと嬉しそうに駆け寄ってくる相手を迎えた。
ついその様になつっこい犬を連想してしまいながら。
「ん?なに?何笑ってんの?」
「いや…なんでもないっす。浅輪さんとここで会うなんて珍しいっすね」
「そうそう、ほんとだよなぁ」
井上がさりげなくすり替えた話題にうんうんと大げさ過ぎるくらいに大きく頷く、このいかにも人のよさそうな顔をした青年は浅輪直樹と言って、曲者揃いと噂される警視庁捜査一課9係に所属する刑事だった。
頭の回転が良く、運動神経も抜群の彼は、所轄署から警視庁の花形と言われる捜査一課に転属となった期待の新人で、捜査一課で最も高い検挙率を誇る9係において、その期待を裏切らないだけの活躍をしているらしい事は井上の耳にも入ってきている。
対する井上は警視庁警備部警護課第4係機動警護班所属の隊員である。
いわゆるSP、セキュリティポリスと呼ばれる存在で、要人警護・対人警護を主な仕事としている。
故に同じ警視庁勤務でも仕事内容や仕事場所が全く異なる為、二人がこうやって警視庁前で顔を合わせる事は本当に滅多に無いことだった。
そもそも彼らが知り合ったのも職場ではなく、浅輪の彼女(本人談)が働くケーキショップだったりするくらいだ。
数ヶ月前、合コンを繰り返していた(いや、今でも繰り返しているが)井上が、相手の子が好きだと言うケーキを手土産にしようと足を運んだケーキショップが偶然にも浅輪の彼女(しつこいようだが本人談)が働く店だったのだ。
その日たまたま店にいた浅輪に何故かケーキの説明をされつつ、なんとなく話が盛り上がったので成り行きで自己紹介をしたところ、お互い同じ職場で働く人間と知りさらに意気投合。
その場で携帯番号とメルアドを交換して親睦を深め、そして現在に至るわけである。
「あ、薫くん、今ちょっとだけ時間ある?」
「え?」
急な浅輪の問いかけに、ちらりと見やった腕時計が示していた時刻は昼の二時ちょっと前。
井上はつい今し方遅めのランチタイムから戻って来た所で、多少の時間であればまだ休憩時間の範疇として認められないこともない。
なので素直に頷いて返した。
「少しくらいなら無くもないっすよ」
「本当に?じゃあさ、久しぶりに会ったことだしコーヒーでも飲んで行かない?」
「はい…って、え?飲んで行かない?」
さらりと言われた言葉に井上は一瞬聞き流してしまいそうになったが、『飲みに行かない?』ではなく『飲んで行かない?』とは一体どういう事なのか。
そんな疑問に対し、何故かにやりとした笑いを浮かべた浅輪は。
「おいしいエスプレッソ淹れるからさ♪」
と、井上に答えを教えないまま、その身柄を警視庁内へと連行…もとい、連れて行った。
**********
実は薫ちゃんの方が年下で階級が上って言う事実ゆえに、二人の出会いを職場外にしてみた9係+SP捏造設定しまくり小説。(笑)
どうしても書いてみたかったこの設定、まったり続きます。
「…あ」
「あれ?あっ!」
声をかける前にどちらからともなくぱちりと合った視線。
それでこちらを認識したらしい相手は、途端にぱあっと笑顔の花を咲かせた。
それがあまりに見事だったもので、井上はついつられ笑いをしつつ、久しぶりに見た笑顔の主の名を呼んだ。
「浅輪さん」
「薫くん、すごい久しぶり!」
「お久しぶりです」
答えて返して、ふと『薫くん』と自分を呼ぶ人間は多分この人くらいだよなぁ、なんて思う。
井上はなんとなく緩んだ口元をそのままに、元来細い目をさらに細めながらやたらと嬉しそうに駆け寄ってくる相手を迎えた。
ついその様になつっこい犬を連想してしまいながら。
「ん?なに?何笑ってんの?」
「いや…なんでもないっす。浅輪さんとここで会うなんて珍しいっすね」
「そうそう、ほんとだよなぁ」
井上がさりげなくすり替えた話題にうんうんと大げさ過ぎるくらいに大きく頷く、このいかにも人のよさそうな顔をした青年は浅輪直樹と言って、曲者揃いと噂される警視庁捜査一課9係に所属する刑事だった。
頭の回転が良く、運動神経も抜群の彼は、所轄署から警視庁の花形と言われる捜査一課に転属となった期待の新人で、捜査一課で最も高い検挙率を誇る9係において、その期待を裏切らないだけの活躍をしているらしい事は井上の耳にも入ってきている。
対する井上は警視庁警備部警護課第4係機動警護班所属の隊員である。
いわゆるSP、セキュリティポリスと呼ばれる存在で、要人警護・対人警護を主な仕事としている。
故に同じ警視庁勤務でも仕事内容や仕事場所が全く異なる為、二人がこうやって警視庁前で顔を合わせる事は本当に滅多に無いことだった。
そもそも彼らが知り合ったのも職場ではなく、浅輪の彼女(本人談)が働くケーキショップだったりするくらいだ。
数ヶ月前、合コンを繰り返していた(いや、今でも繰り返しているが)井上が、相手の子が好きだと言うケーキを手土産にしようと足を運んだケーキショップが偶然にも浅輪の彼女(しつこいようだが本人談)が働く店だったのだ。
その日たまたま店にいた浅輪に何故かケーキの説明をされつつ、なんとなく話が盛り上がったので成り行きで自己紹介をしたところ、お互い同じ職場で働く人間と知りさらに意気投合。
その場で携帯番号とメルアドを交換して親睦を深め、そして現在に至るわけである。
「あ、薫くん、今ちょっとだけ時間ある?」
「え?」
急な浅輪の問いかけに、ちらりと見やった腕時計が示していた時刻は昼の二時ちょっと前。
井上はつい今し方遅めのランチタイムから戻って来た所で、多少の時間であればまだ休憩時間の範疇として認められないこともない。
なので素直に頷いて返した。
「少しくらいなら無くもないっすよ」
「本当に?じゃあさ、久しぶりに会ったことだしコーヒーでも飲んで行かない?」
「はい…って、え?飲んで行かない?」
さらりと言われた言葉に井上は一瞬聞き流してしまいそうになったが、『飲みに行かない?』ではなく『飲んで行かない?』とは一体どういう事なのか。
そんな疑問に対し、何故かにやりとした笑いを浮かべた浅輪は。
「おいしいエスプレッソ淹れるからさ♪」
と、井上に答えを教えないまま、その身柄を警視庁内へと連行…もとい、連れて行った。
**********
実は薫ちゃんの方が年下で階級が上って言う事実ゆえに、二人の出会いを職場外にしてみた9係+SP捏造設定しまくり小説。(笑)
どうしても書いてみたかったこの設定、まったり続きます。
伝説のポケモンマスターである兄たちに憧れているゴウ・ケン・ジュンイチの三人。(ジェイ地方ビクトリータウン在住)
彼らはひょんなことから街の有名人、ジ○ニー博士より「Youたち全部持ってっちゃいなよ」と軽い調子で託されてしまった、それぞれ三匹ずつのポケモンと最新の全国版ポケモン図鑑を片手に旅に出るのだった…
※ゲームとはかなり異なります。(笑)
■伝説のポケモンマスター(トニサイド)
◆マサユキ/ゴウの兄
☆手持ちポケモン
リザードン(Lv.100):いじっぱり
その他不明
◆ヒロシ/ケンの兄
☆手持ちポケモン
フシギバナ(Lv.100):ひかえめ
その他不明
◆ヨシヒコ/ジュンイチの兄
☆手持ちポケモン
カメックス(Lv.100):わんぱく
その他不明
■トレーナー見習い(カミサイド)
◆ゴウ/マサユキの弟
☆手持ちポケモン

ヒコザル(Lv.5):やんちゃ
ワニノコ(Lv.5):むじゃき
キモリ(Lv.5):ゆうかん
◆ケン/ヒロシの弟
☆手持ちポケモン

チコリータ(Lv.5):うっかりや
アチャモ(Lv.5):ようき
ポッチャマ(Lv.5):てれや
◆ジュンイチ/ヨシヒコの弟
☆手持ちポケモン

ミズゴロウ(Lv.5):ひかえめ
ナエトル(Lv.5):おっとり
ヒノアラシ(Lv.5):おとなしい
----------
トニの手持ちポケは育成を考慮した性格に。
カミの手持ちポケに関しては性格は単なるイメージです。(笑)
調子にのってポケモンたちのイラストも描いて写メしてみた!見づらいけど!!
ちなみに博さんとフシギバナのツーショットも描いたんですけども、こちらはうまく写メ出来なかったんで保留中。
後日ちゃんとスキャナで読もうかな・・・
Vポケが楽しくて仕方が無い今日この頃。(笑)
icon by.ポケ書
彼らはひょんなことから街の有名人、ジ○ニー博士より「Youたち全部持ってっちゃいなよ」と軽い調子で託されてしまった、それぞれ三匹ずつのポケモンと最新の全国版ポケモン図鑑を片手に旅に出るのだった…
※ゲームとはかなり異なります。(笑)
■伝説のポケモンマスター(トニサイド)
◆マサユキ/ゴウの兄
☆手持ちポケモン
その他不明
◆ヒロシ/ケンの兄
☆手持ちポケモン
その他不明
◆ヨシヒコ/ジュンイチの兄
☆手持ちポケモン
その他不明
■トレーナー見習い(カミサイド)
◆ゴウ/マサユキの弟
☆手持ちポケモン
◆ケン/ヒロシの弟
☆手持ちポケモン
◆ジュンイチ/ヨシヒコの弟
☆手持ちポケモン
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トニの手持ちポケは育成を考慮した性格に。
カミの手持ちポケに関しては性格は単なるイメージです。(笑)
調子にのってポケモンたちのイラストも描いて写メしてみた!見づらいけど!!
ちなみに博さんとフシギバナのツーショットも描いたんですけども、こちらはうまく写メ出来なかったんで保留中。
後日ちゃんとスキャナで読もうかな・・・
Vポケが楽しくて仕方が無い今日この頃。(笑)
icon by.ポケ書
「ゴウ~せっかく博士からポケモンもらったんだからバトルしようゼ~!!」
「あー?まだ全然レベル低いのにかよ」
「いーじゃん、練習だって練習!」
「じゃあ俺立会人するわ」
「うん、よろしく♪ってなわけで、それじゃーいっけーポッチャマ!!」
「めんどくせー…じゃー行って来いキモリ」
「えー!?いきなり弱点属性かよっ!!んじゃーアチャモにチェンジっ!!」
「あぁ?んじゃ、こっちはワニノコだな」
「あーっ!!もー!!じゃあチコリータっ!!」
「ヒコザル」
「ってちょっとっ!!じゃあやっぱりポッチャマ!!」
「キモリー(笑)」
「あーなんだよもぉー!!(笑)」
・出しては仕舞い出しては仕舞いを延々繰り返す二人にジュンイチ、呆れた声で一言。
「…永遠に終わらんやろ、それ」
・結局そのやりとりはジュンイチが痺れを切らして自分のポケモンを投入するまで延々と続きましたとさ。(ついでにバトルに勝利したのもジュンイチだったとか・笑)
※ちなみに彼らのポケモンたちはレベルが低いため、まだ属性攻撃を覚えていません。
お粗末。(笑)
「あー?まだ全然レベル低いのにかよ」
「いーじゃん、練習だって練習!」
「じゃあ俺立会人するわ」
「うん、よろしく♪ってなわけで、それじゃーいっけーポッチャマ!!」
「めんどくせー…じゃー行って来いキモリ」
「えー!?いきなり弱点属性かよっ!!んじゃーアチャモにチェンジっ!!」
「あぁ?んじゃ、こっちはワニノコだな」
「あーっ!!もー!!じゃあチコリータっ!!」
「ヒコザル」
「ってちょっとっ!!じゃあやっぱりポッチャマ!!」
「キモリー(笑)」
「あーなんだよもぉー!!(笑)」
・出しては仕舞い出しては仕舞いを延々繰り返す二人にジュンイチ、呆れた声で一言。
「…永遠に終わらんやろ、それ」
・結局そのやりとりはジュンイチが痺れを切らして自分のポケモンを投入するまで延々と続きましたとさ。(ついでにバトルに勝利したのもジュンイチだったとか・笑)
※ちなみに彼らのポケモンたちはレベルが低いため、まだ属性攻撃を覚えていません。
お粗末。(笑)
日陰の恋なんて格好いいもんじゃない。
ただ自分は強欲で。
手に入れたいものは全て、手に入れないと気が済まなかった。
そのためにはどんな手も使った。
そうするだけの力も財力も十分あった。
でも所詮、嘘は嘘でしかなくて。
その先に待っているものを想像するだけの余裕も勇気もなかった自分を浅ましいと気づいたのは、全てが露呈してからだった。
恐れても、苛立っても、結局は全て自分の蒔いた種で。
足掻いた所で結果なんか分かりきってる状況に絶望すらした。
けれど、俺たちは。
剥ぎ取られた嘘の後に残った本当の自分と、三年の間に温められていた絆…それに気恥ずかしい話だけれど育っていた愛が、この先の選択肢を与えてくれた。
ここから始めるか。
それとも終わるか。
選ぶのは、俺たち二人だ。
ぎこちない手つきで作るイタリアン。
不慣れな俺をそばで見守ってくれる君の眼差しは優しい。
そうだ。
それだけで良かったんだよ。
それを教えてくれた人はもういないけど。
ただ、素直にあればそれだけで良かったんだ。
「…味見、してくれる?」
躊躇いがちにそう言った俺に。
「…うん」
頷いてくれた君のはにかんだ微笑み。
まだ馴染みのないフライパンを片手に。
俺たちの時間は今、ここから始まる。
ただ自分は強欲で。
手に入れたいものは全て、手に入れないと気が済まなかった。
そのためにはどんな手も使った。
そうするだけの力も財力も十分あった。
でも所詮、嘘は嘘でしかなくて。
その先に待っているものを想像するだけの余裕も勇気もなかった自分を浅ましいと気づいたのは、全てが露呈してからだった。
恐れても、苛立っても、結局は全て自分の蒔いた種で。
足掻いた所で結果なんか分かりきってる状況に絶望すらした。
けれど、俺たちは。
剥ぎ取られた嘘の後に残った本当の自分と、三年の間に温められていた絆…それに気恥ずかしい話だけれど育っていた愛が、この先の選択肢を与えてくれた。
ここから始めるか。
それとも終わるか。
選ぶのは、俺たち二人だ。
ぎこちない手つきで作るイタリアン。
不慣れな俺をそばで見守ってくれる君の眼差しは優しい。
そうだ。
それだけで良かったんだよ。
それを教えてくれた人はもういないけど。
ただ、素直にあればそれだけで良かったんだ。
「…味見、してくれる?」
躊躇いがちにそう言った俺に。
「…うん」
頷いてくれた君のはにかんだ微笑み。
まだ馴染みのないフライパンを片手に。
俺たちの時間は今、ここから始まる。

