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The Angel Cradle.

飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。

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その人は優しい人だったから。
最期の瞬間の願いを、神様が聞き届けたのだ。

「俺はあいつに随分可愛がってもらったからな。その分の恩は返すぜ、お前にな」

すうすうと静かな寝息を立てて眠る彼に降るのは、密やかな独り言。
柔らかそうな髪が頬に落ちたのを見て、枕もとの男はそれを指先でそっと払ってやる。

「なんたって、お前のことは生まれた時から知ってるしな。それこそ全部・・・なにもかも知ってる」

慈しみすら浮かんだその瞳を細めて、男は遠く空に浮かぶ月を見る。
今日は満月だ。
強い月光が降り注いでいて、灯りがなくても部屋の中は明るい。
彼の白い頬がその光に照らされて、ますます白く映る。
けれどそこにはちゃんと血の気があって、穏やかな寝顔に男は心底ほっとした。

そう、男は全て知っているのだ。
彼についての何もかもを、全部。

「俺が、守ってやるから。だから、ちゃんと幸せになれよ、博」

それはいつの間にか男自身の中に生まれていた願いだ。
誰に乞われたからじゃない。
これは男自身が心から願っていることだ。

幸せに。
ただ、幸せに。

「・・・おやすみ」

口元に笑みを浮かべて。
男は月光に解けるようにその姿を消した。
彼の枕元には赤メノウの首飾り。

後に残ったのは、静かな夜。


********************


ギャグじゃなかったのか。(笑)
どうもツートップだとシリアスに走りたくなる傾向があるらしい。

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