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The Angel Cradle.

飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。

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井ノ原じゃあるまいし。
この状況にさっさと順応しろと言う方が土台無理な話だ。
彼は同僚であるちっさい目の男を思い浮かべて若干イラッとした。
(井ノ原にしてみれば完全なとばっちりである)

「博様、顔色が優れませんね。どうなさいました?」
「・・・それをあなたが言いますか」

そりゃ当然100%あんたのせいだろ。
彼にしては相当珍しく、不機嫌な顔を隠しもしないで、むしろわざとらしいくらいの感じで盛大なため息をついた。
そうしたらば無骨な男の指がそっと頬に伸びてきて、優しい手つきでそこを撫でる。

「折角の美しい顔が台無しですよ」
「・・・・・・」

サブイボが。
サブイボがすんごいことになってますけど?
対女子ならまだしも、対男子にその台詞と行動はないだろう。
なんなんだこの天然タラシ男は。
誰かコイツに突っ込みをいれてやってくれ。

「博様、どうなさいました?」
「・・・なんか、いや、もう、なんでもないです」
「そうですか」

はぁ、ともう一度心からのため息をついて、彼は手の中のものに視線を落とした。
大ぶりの赤メノウが一石付いた、綺麗な首飾りが堂々とした存在感を持ってそこにある。
それは彼を誰よりも溺愛して可愛がってくれた祖母の唯一の形見である。
そして。
厄介ごとの種そのものでもある。

・・・なんでこんなことになったかなぁ。
恨むよ、ばあちゃん。

指先でその石を軽くはじいたら、何故か目の前の男がびくりと体を震わせた。

「・・・博様、それと私は感覚が繋がっているので、出来れば丁寧に扱って頂けると嬉しいのですが」
「え?うわ、そうなの?ご、ごめん」

つい慌てて敬語も忘れて謝ってしまったけれど、よくよく考えてみるとこれくらいの仕返しはしてもいいような気がしてきた。
そうか、この石とこの男は繋がっているのか。
なるほど。
それじゃあ・・・えいっ。

「こしょこしょ」
「ひっ、博様、あ、あの、ちょっと・・・!」

指先で赤メノウをくすぐってみたら、軽く身悶えた男が頬を赤らめた。
・・・うわーなんか見たくないもの見ちゃったよ。
すみません、今のは俺が悪かったです。

「そ、それで、ええとサカモトさん?」
「はい」
「結局のところ俺はどうしたらいいんですか?」
「それは・・・難しい質問ですね」

少し考えた男はふと、何かに思い当たったような顔をするとにこりと笑って。

「とりあえず、昼食にしましょうか」

予想外の返答に呆れて見上げた壁の時計は昼の12時を刻んでいた。



********************


メッセージを頂けたので調子に乗ってまた書いてみた。(笑)
なんかひたすら坂本さんが変な人にしかならないんだけど大丈夫かこれ。(笑)

えーと坂本さんは赤メノウの精に決まったらしいです。
願いを叶えたら首飾りも消えてしまうので、お祖母ちゃん子だった博さんは願いを言って坂本さんにお引取り願うことも出来ないのです。

ちなみに赤メノウには夫婦円満等の効果があるんだそうだ。(笑)
なんかツートップっぽい!ってことでこの石に決まりましたとさ。

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