The Angel Cradle.
飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。
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取り調べ室のイスに座った長野は、いつもと変わらぬ微笑みを浮かべ、坂本を迎えた。
「やぁ、ハンチョウ」
「まさか、お前とこういう形で向き合う事になるとはな」
「俺もびっくりだよ。まさかハンチョウ殿から取り調べを受ける機会があるなんてね」
軽く肩をすくめてみせる長野は、やはりいつもと変わりのない穏やかな空気をまとっている。
元より彼を疑ってなどいなかった坂本だが、こうも取り調べ室で堂々とされると、意地悪の一つもしてみたくなると言うものだ。
「それで、やったのか?」
対面のパイプイスに腰掛けながら、わざと重々しい口調でそう訪ねてみれば。
「愚問だね」
と、間髪入れず、すっぱりと問いを切り捨てられる。
しかも長野に浮かんでいるのは、ふてぶてしいを通り越して、凶悪なまでの笑みだ。
こいつをここまで怒らせた馬鹿はどこのどいつだ、と心中で毒づきながら、坂本は息を吐いて言った。
「だろうな」
「あれ?信じてくれるの?」
「そもそも、もしお前が犯人ならこんな風に簡単に捕まるようなヘマはしないだろ」
こう言うのもなんだが、そういうヤツなのである。
長野博と言う男は。
「さすがはハンチョウ、良くわかってるじゃない」
凶悪な笑みから一転、機嫌良さそうに笑った長野は、スチール製の机の上で頬杖を付くと。
「俺を敵に回すとどういう事になるか、真犯人にはしっかり教えてあげないとね」
緩慢な仕草で首を傾げ、ゆっくりと目を細めるのだった。
**********
逃げて!犯人超逃げて!と言いたくなるレベルの恐ろしさ。(笑)
安積班最新作が速水さんが犯人扱いされる話なので無性に書きたくなったのがこれって言う。
ちなみに原作はまだ連載中ゆえ未読。はよ!新刊はよ!
やっぱり安積班シリーズはハンチョウと速水さんが揃ってこそだよね、とドラマスタッフに言葉を投げつけたいですはい。(笑)
「やぁ、ハンチョウ」
「まさか、お前とこういう形で向き合う事になるとはな」
「俺もびっくりだよ。まさかハンチョウ殿から取り調べを受ける機会があるなんてね」
軽く肩をすくめてみせる長野は、やはりいつもと変わりのない穏やかな空気をまとっている。
元より彼を疑ってなどいなかった坂本だが、こうも取り調べ室で堂々とされると、意地悪の一つもしてみたくなると言うものだ。
「それで、やったのか?」
対面のパイプイスに腰掛けながら、わざと重々しい口調でそう訪ねてみれば。
「愚問だね」
と、間髪入れず、すっぱりと問いを切り捨てられる。
しかも長野に浮かんでいるのは、ふてぶてしいを通り越して、凶悪なまでの笑みだ。
こいつをここまで怒らせた馬鹿はどこのどいつだ、と心中で毒づきながら、坂本は息を吐いて言った。
「だろうな」
「あれ?信じてくれるの?」
「そもそも、もしお前が犯人ならこんな風に簡単に捕まるようなヘマはしないだろ」
こう言うのもなんだが、そういうヤツなのである。
長野博と言う男は。
「さすがはハンチョウ、良くわかってるじゃない」
凶悪な笑みから一転、機嫌良さそうに笑った長野は、スチール製の机の上で頬杖を付くと。
「俺を敵に回すとどういう事になるか、真犯人にはしっかり教えてあげないとね」
緩慢な仕草で首を傾げ、ゆっくりと目を細めるのだった。
**********
逃げて!犯人超逃げて!と言いたくなるレベルの恐ろしさ。(笑)
安積班最新作が速水さんが犯人扱いされる話なので無性に書きたくなったのがこれって言う。
ちなみに原作はまだ連載中ゆえ未読。はよ!新刊はよ!
やっぱり安積班シリーズはハンチョウと速水さんが揃ってこそだよね、とドラマスタッフに言葉を投げつけたいですはい。(笑)
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その日、杉下右京は特命係の部屋の前で珍しい人物と顔を合わせた。
「右京さん!」
「はい?」
はずんだ声に名を呼ばれ、振り返れば。
そこには人好きのしそうな顔に、にこにこ笑顔を浮かべた青年が一人、立っている。
その確かに見覚えのある顔に、右京は思わず相好を崩すと穏やかな声で答えた。
「おやおや。誰かと思えば、浅輪くんではないですか」
「はい!ご無沙汰してます、右京さん!」
名を呼べば、相手は更に笑顔の花を咲かせ、溌剌とした声を上げる。
右京がついつられてくすりと笑ってしまうほど明るい笑顔が似合うこの青年は、名を浅輪直樹と言って、曲者揃いと噂される警視庁捜査一課9係に所属する若手の刑事である。
9係は警視庁捜査一課内において最も高い検挙率を誇る係であり、その功績は同じ一課所属の伊丹たちが度々嫉妬を口にするほどのものであったりする。
しかし右京個人としては、時には警察内部のしがらみにも臆することなく斬りこんで行く9係を好ましく思っているし、この溌剌とした真っ直ぐな好青年のことを気に入ってもいた。
「あの、お邪魔してもいいですか?」
「もちろん、かまいませんよ。どうぞ」
「ありがとうございます!お邪魔しまーす♪」
右京が快く招き入れると、浅輪はいそいそと特命係の小部屋に入って来る。
その様に何故かなつっこい犬を想像してしまい、こっそりと笑みを深くした右京である。
「それで、今日はどうしたんですか?」
「あ、実は角田課長に用があって来たんですけど、今席を外してるみたいなんですよね」
「あぁ、そうでしたか」
角田六郎は特命係が部屋を間借りしている、組織犯罪対策部組織犯罪対策5課の課長である。
何やかんやと特命係の面倒を見てくれる、警視庁内では非常に希少な人物であり、暇か?と言うお決まりのセリフと共に現れ、特命係のコーヒーを勝手に飲むのが日課だったりする。
しかし諸事情によりコーヒーを飲む人間がいなくなった今の特命係では、彼はコーヒーを作る所から始めるようになっていたりもするのだ。
「亀山さん、本当に辞めちゃったんですね」
不意に、声のトーンを落とした浅輪がそう言った。
彼が向けた視線の先を辿れば、そこには右京の名札だけがかかった在籍表示板がある。
そう言えば、と。
浅輪と知り合いになったのは亀山経由であったことを右京は今更ながら思い出した。
切欠は本当に偶然による産物である。
たまたま飲み屋で居合わせた二人がそこで意気投合し、その後、今日のように組対に用があってやってきた浅輪を亀山が右京に紹介したのだ。
在籍表示板を見上げる寂しそうな横顔が、二人の仲の良さを物語っているように思えて。
右京は微笑を浮かべ、相づちを打つ。
「・・・えぇ」
それが存外に沈んだトーンで響いてしまったような気がして。
気持ちを切り替えるように、右京は努めて明るい声で思い出した事を口にした。
「そう言えば、君は良く亀山くんにここでコーヒーを入れてもらっていましたねぇ」
「あぁ、そうですね。ここに来ると休んでけっていつも亀山さんがコーヒーくれて」
事件捜査の関係で浅輪は時折組対に足を運ぶことがあった。
その度に彼を見つけた亀山が特命係の部屋に誘い入れてコーヒーをふるまっていたのだ。
思うに、それは多忙な浅輪を気遣ってのことだったのだろう。
人情派な彼らしい、と右京は微笑する。
「良かったら、今日はコーヒーではなくて紅茶でもいかがですか?」
「えっ!いいんですか?」
「もちろん」
目を丸くした浅輪は右京の答えにぱあっと笑顔になると、是非!!と弾んだ声で言った。
「俺、一度右京さんの入れる紅茶飲んでみたかったんですよ~♪」
「おやおや、そうですか。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、それでは準備しましょう」
「よろしくお願いします!」
嬉しそうにそう答えたにこにこ笑顔の浅輪につられ、右京もついにっこり笑顔を浮かべてしまってから、彼は一人、内心で照れるのだった。
**********
ずっと書きたかった右京さんとあさわんこ(笑)のお話。
続く・・・のかどうかは俺にも分からん。(笑)
俺が亀ちゃん贔屓なので二人には亀ちゃん経由で仲良くなってもらいました。
でも亀ちゃんはいない、相棒不在期間の右京さんです。
これを書いてみて、どうも俺は浅輪くんを書くのが苦手らしいという事を認識したとかなんとか。(笑)
「右京さん!」
「はい?」
はずんだ声に名を呼ばれ、振り返れば。
そこには人好きのしそうな顔に、にこにこ笑顔を浮かべた青年が一人、立っている。
その確かに見覚えのある顔に、右京は思わず相好を崩すと穏やかな声で答えた。
「おやおや。誰かと思えば、浅輪くんではないですか」
「はい!ご無沙汰してます、右京さん!」
名を呼べば、相手は更に笑顔の花を咲かせ、溌剌とした声を上げる。
右京がついつられてくすりと笑ってしまうほど明るい笑顔が似合うこの青年は、名を浅輪直樹と言って、曲者揃いと噂される警視庁捜査一課9係に所属する若手の刑事である。
9係は警視庁捜査一課内において最も高い検挙率を誇る係であり、その功績は同じ一課所属の伊丹たちが度々嫉妬を口にするほどのものであったりする。
しかし右京個人としては、時には警察内部のしがらみにも臆することなく斬りこんで行く9係を好ましく思っているし、この溌剌とした真っ直ぐな好青年のことを気に入ってもいた。
「あの、お邪魔してもいいですか?」
「もちろん、かまいませんよ。どうぞ」
「ありがとうございます!お邪魔しまーす♪」
右京が快く招き入れると、浅輪はいそいそと特命係の小部屋に入って来る。
その様に何故かなつっこい犬を想像してしまい、こっそりと笑みを深くした右京である。
「それで、今日はどうしたんですか?」
「あ、実は角田課長に用があって来たんですけど、今席を外してるみたいなんですよね」
「あぁ、そうでしたか」
角田六郎は特命係が部屋を間借りしている、組織犯罪対策部組織犯罪対策5課の課長である。
何やかんやと特命係の面倒を見てくれる、警視庁内では非常に希少な人物であり、暇か?と言うお決まりのセリフと共に現れ、特命係のコーヒーを勝手に飲むのが日課だったりする。
しかし諸事情によりコーヒーを飲む人間がいなくなった今の特命係では、彼はコーヒーを作る所から始めるようになっていたりもするのだ。
「亀山さん、本当に辞めちゃったんですね」
不意に、声のトーンを落とした浅輪がそう言った。
彼が向けた視線の先を辿れば、そこには右京の名札だけがかかった在籍表示板がある。
そう言えば、と。
浅輪と知り合いになったのは亀山経由であったことを右京は今更ながら思い出した。
切欠は本当に偶然による産物である。
たまたま飲み屋で居合わせた二人がそこで意気投合し、その後、今日のように組対に用があってやってきた浅輪を亀山が右京に紹介したのだ。
在籍表示板を見上げる寂しそうな横顔が、二人の仲の良さを物語っているように思えて。
右京は微笑を浮かべ、相づちを打つ。
「・・・えぇ」
それが存外に沈んだトーンで響いてしまったような気がして。
気持ちを切り替えるように、右京は努めて明るい声で思い出した事を口にした。
「そう言えば、君は良く亀山くんにここでコーヒーを入れてもらっていましたねぇ」
「あぁ、そうですね。ここに来ると休んでけっていつも亀山さんがコーヒーくれて」
事件捜査の関係で浅輪は時折組対に足を運ぶことがあった。
その度に彼を見つけた亀山が特命係の部屋に誘い入れてコーヒーをふるまっていたのだ。
思うに、それは多忙な浅輪を気遣ってのことだったのだろう。
人情派な彼らしい、と右京は微笑する。
「良かったら、今日はコーヒーではなくて紅茶でもいかがですか?」
「えっ!いいんですか?」
「もちろん」
目を丸くした浅輪は右京の答えにぱあっと笑顔になると、是非!!と弾んだ声で言った。
「俺、一度右京さんの入れる紅茶飲んでみたかったんですよ~♪」
「おやおや、そうですか。ご期待に添えられるかどうかは分かりませんが、それでは準備しましょう」
「よろしくお願いします!」
嬉しそうにそう答えたにこにこ笑顔の浅輪につられ、右京もついにっこり笑顔を浮かべてしまってから、彼は一人、内心で照れるのだった。
**********
ずっと書きたかった右京さんとあさわんこ(笑)のお話。
続く・・・のかどうかは俺にも分からん。(笑)
俺が亀ちゃん贔屓なので二人には亀ちゃん経由で仲良くなってもらいました。
でも亀ちゃんはいない、相棒不在期間の右京さんです。
これを書いてみて、どうも俺は浅輪くんを書くのが苦手らしいという事を認識したとかなんとか。(笑)
湿気と蒸し暑さで充満したオフィスの空気に嫌気がさして、自主休憩を決め込み飛び出したビルの外。
空模様は生憎の様相を呈していて、肺から吐き出した淀んだ空気は、重く地面へと転がった。
この時期はどうしても気分が暗く沈みがちだ。
中途半端な気温と、じめじめとした湿気と、それを生み出す雨、雨、雨。
うまく気分を切り替えられるほどポジティブではない自分は、ワイシャツをわずかに濡らす弱々しい雨の粒ですらなんとも忌々しく思えて小さく舌打ちした。
今し方出てきたばかりだが、仕方がない、戻るか。
そう思って踵を返そうとした時、それは聞こえてきたのだ。
「 」
最初はかすかに。
次第にはっきりと耳に届いたそれは、思うに誰かの歌声で。
オフィス街の雑踏の中において、どうしてかクリアに聞こえるそれに戸惑いを隠せないでいると、唐突に目の前でポンと傘の花が咲いた。
当然驚き、一歩引いたその前には、一人の男の姿。
「こんにちは」
柔らかい声がそう言った。
が、あまりに突然の出来ごとすぎて上手く言葉を返せない。
まるで魚のように口をパクパクさせれば、目の前の男はくすりと笑った。
「そんなに梅雨が嫌い?」
内心を見透かしたかのような言葉に、少しだけ茶色がかった瞳が優しく細められる。
やはり言葉を返せないでいる自分に、男はさしていた傘をすっと差し出すと言った。
「あげる」
「え?」
やっと出た声がそれとはなんとも情けないような気がする。
そしてつい条件反射的に差し出された傘を受け取ってしまったが、どう考えても受け取るべきではないだろう。
すぐさま返そうとしたが、柔らかい笑顔と意外なほど力強い手にあっけなく押し返されてしまった。
「それなら、いつでも晴れ空だから」
「は・・・?」
ちょんちょん、と傘の内側を指さされて初めて気づいた。
傘の内側に、鮮やかな青空が広がっていることに。
「ね?」
にっこりと笑った男は何が楽しいのか、軽やかな足取りで雨の中を歩きだす。
そしてまた、聞こえてくるのはあの歌声だ。
「あ、おい!」
止めるのも聞かず、男は雑踏の中を跳ねるように遠ざかっていく。
不思議な事に、行き交う人々は誰も彼に気づいていないようだった。
まるで雨の中を踊る様に進んで行く彼に、不意にいつか見た映画のワンシーンが重なる。
「大丈夫、俺は雨が好きだから!」
弾んだ声が聞こえたと思ったら、その姿はもう傘の群れの中に消えてしまっていて。
あっけにとられて立ちつくす、その手に残ったのは青空を模した傘。
「・・・一体、なんだったんだ?」
まるで狐につままれたような気分だ。
けれど、未だ耳に残るあの歌声はどこまでも楽しく、晴れやかで。
知らず緩んでいた口元を誤魔化す様に、その歌声をそっとなぞった。
【Singing In The Rain】
**********
※日記掲載文を収納。
何故か傘の日(6/11)からこんな話が出来ましたって言う。
不思議系?ファンタジー系?
こういう雰囲気の話を書いたのは初めてかもしれんね。
名前出してないけど一応イメージは上二人です、はい。
博さんは多分・・・梅雨の妖精さんと見せかけてカエルの妖精さんなんじゃないかな!(笑)
ちなみに湿気と蒸し暑さで充満したオフィスの空気に嫌気がさしたのは俺です。(え)
社内があっついよー・・・(倒)
空模様は生憎の様相を呈していて、肺から吐き出した淀んだ空気は、重く地面へと転がった。
この時期はどうしても気分が暗く沈みがちだ。
中途半端な気温と、じめじめとした湿気と、それを生み出す雨、雨、雨。
うまく気分を切り替えられるほどポジティブではない自分は、ワイシャツをわずかに濡らす弱々しい雨の粒ですらなんとも忌々しく思えて小さく舌打ちした。
今し方出てきたばかりだが、仕方がない、戻るか。
そう思って踵を返そうとした時、それは聞こえてきたのだ。
「 」
最初はかすかに。
次第にはっきりと耳に届いたそれは、思うに誰かの歌声で。
オフィス街の雑踏の中において、どうしてかクリアに聞こえるそれに戸惑いを隠せないでいると、唐突に目の前でポンと傘の花が咲いた。
当然驚き、一歩引いたその前には、一人の男の姿。
「こんにちは」
柔らかい声がそう言った。
が、あまりに突然の出来ごとすぎて上手く言葉を返せない。
まるで魚のように口をパクパクさせれば、目の前の男はくすりと笑った。
「そんなに梅雨が嫌い?」
内心を見透かしたかのような言葉に、少しだけ茶色がかった瞳が優しく細められる。
やはり言葉を返せないでいる自分に、男はさしていた傘をすっと差し出すと言った。
「あげる」
「え?」
やっと出た声がそれとはなんとも情けないような気がする。
そしてつい条件反射的に差し出された傘を受け取ってしまったが、どう考えても受け取るべきではないだろう。
すぐさま返そうとしたが、柔らかい笑顔と意外なほど力強い手にあっけなく押し返されてしまった。
「それなら、いつでも晴れ空だから」
「は・・・?」
ちょんちょん、と傘の内側を指さされて初めて気づいた。
傘の内側に、鮮やかな青空が広がっていることに。
「ね?」
にっこりと笑った男は何が楽しいのか、軽やかな足取りで雨の中を歩きだす。
そしてまた、聞こえてくるのはあの歌声だ。
「あ、おい!」
止めるのも聞かず、男は雑踏の中を跳ねるように遠ざかっていく。
不思議な事に、行き交う人々は誰も彼に気づいていないようだった。
まるで雨の中を踊る様に進んで行く彼に、不意にいつか見た映画のワンシーンが重なる。
「大丈夫、俺は雨が好きだから!」
弾んだ声が聞こえたと思ったら、その姿はもう傘の群れの中に消えてしまっていて。
あっけにとられて立ちつくす、その手に残ったのは青空を模した傘。
「・・・一体、なんだったんだ?」
まるで狐につままれたような気分だ。
けれど、未だ耳に残るあの歌声はどこまでも楽しく、晴れやかで。
知らず緩んでいた口元を誤魔化す様に、その歌声をそっとなぞった。
【Singing In The Rain】
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※日記掲載文を収納。
何故か傘の日(6/11)からこんな話が出来ましたって言う。
不思議系?ファンタジー系?
こういう雰囲気の話を書いたのは初めてかもしれんね。
名前出してないけど一応イメージは上二人です、はい。
博さんは多分・・・梅雨の妖精さんと見せかけてカエルの妖精さんなんじゃないかな!(笑)
ちなみに湿気と蒸し暑さで充満したオフィスの空気に嫌気がさしたのは俺です。(え)
社内があっついよー・・・(倒)
No.20の船は89師団の船とは比べ物にならないくらい大きくて綺麗だった。
どれくらいかと言えば、三人が思わずあんぐりと口を開いて見上げてしまったくらいだ。
「スゲー・・・」
「なんすかこれ!?このスケール感!?ハンパねぇ!!」
「・・・!!」
これには流石の南條も感嘆の声を上げ、澤田ははしゃぎまくり、メカニックである江口に至ってはもはや言葉もないほど感動にうちふるえている。
確かに89師団の船と比べたらNo.20の船は天と地ほどの差がある。
まず目を見張るのはそのサイズだ。
ドックに停泊されたその船は、とにかく大きかった。
日本支部のCR船が優に5台は収納できるサイズであろう。
真っ白な船体には側面にアーティスティックにデザインされたNo.20のロゴが描かれ、その優美なフォルムは海に浮かぶ大型の豪華客船を連想させる。
とにかくそれは89師団の面々が持つCR船のイメージを真っ向から覆すものだった。
「すごい綺麗・・・白い・・・ぴっかぴか・・・!」
ふらふらと船に吸い寄せられるようにして歩み寄る江口は、目をうっとりさせ、このまま放っておけば船体に頬ずりしかねない勢いだ。
そんな彼の様子を見て長野が笑って言った。
「ピッカピカに磨いておかないと姫がご機嫌斜めになるからね」
「姫?他に女性クルーがいるんですか?」
「まぁ・・・クルーって言うかなんて言うか・・・」
何故か言葉を濁す長野に三人は顔を見合わせ一様に首をかしげる。
それを見て苦笑した長野は搭乗ゲートに歩み寄るとコンソールを操作してハッチを開いた。
「すぐに分かるよ。ようこそ、No.20の母船『舞姫』へ」
**********
コスキュはアナログで日本的なSFのイメージなんですが、トニセンレスキューはハイスペックでハリウッド的なイメージ。(笑)
続きでは姫の謎をネタバレします。(笑)
気になったらどうぞ。
どれくらいかと言えば、三人が思わずあんぐりと口を開いて見上げてしまったくらいだ。
「スゲー・・・」
「なんすかこれ!?このスケール感!?ハンパねぇ!!」
「・・・!!」
これには流石の南條も感嘆の声を上げ、澤田ははしゃぎまくり、メカニックである江口に至ってはもはや言葉もないほど感動にうちふるえている。
確かに89師団の船と比べたらNo.20の船は天と地ほどの差がある。
まず目を見張るのはそのサイズだ。
ドックに停泊されたその船は、とにかく大きかった。
日本支部のCR船が優に5台は収納できるサイズであろう。
真っ白な船体には側面にアーティスティックにデザインされたNo.20のロゴが描かれ、その優美なフォルムは海に浮かぶ大型の豪華客船を連想させる。
とにかくそれは89師団の面々が持つCR船のイメージを真っ向から覆すものだった。
「すごい綺麗・・・白い・・・ぴっかぴか・・・!」
ふらふらと船に吸い寄せられるようにして歩み寄る江口は、目をうっとりさせ、このまま放っておけば船体に頬ずりしかねない勢いだ。
そんな彼の様子を見て長野が笑って言った。
「ピッカピカに磨いておかないと姫がご機嫌斜めになるからね」
「姫?他に女性クルーがいるんですか?」
「まぁ・・・クルーって言うかなんて言うか・・・」
何故か言葉を濁す長野に三人は顔を見合わせ一様に首をかしげる。
それを見て苦笑した長野は搭乗ゲートに歩み寄るとコンソールを操作してハッチを開いた。
「すぐに分かるよ。ようこそ、No.20の母船『舞姫』へ」
**********
コスキュはアナログで日本的なSFのイメージなんですが、トニセンレスキューはハイスペックでハリウッド的なイメージ。(笑)
続きでは姫の謎をネタバレします。(笑)
気になったらどうぞ。