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The Angel Cradle.

飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。

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作家の傍らには猫。
どういうわけか、その光景はしっくりとくる。


昼を少し過ぎた、世間では休日と呼ばれるとある日。
窓ガラスから差し込む柔らかな陽光にうつらうつらと眠気を誘われていると、いつの間にか側に寄って来ていた同居中の相棒に無言のままそれを窘められた。
キーボードの上で止まった手に、ぺしり、と猫パンチ一発で。
「…お前は編集部の回し者か?」
恨みがましい目で見据えつつそんな事を言ってみても、相手は何処吹く風で涼しい顔をしている。
まぁそもそも、俺からしてみれば猫ってヤツは常に涼しい顔をしているようにしか見えないのだが。
言い忘れていたが、『同居中の相棒』とは憎らしいほどに艶やかな漆黒の毛並みを持つオスの黒猫のことである。
数ヶ月前、もう一人の同居中の相棒――こちらは人間である――が拾ってきた元野良猫だ。
その割には毛並みが良かったり、愛想が良かったり、更には躾もしっかりされていたりと、とても野良猫とは思えない部分が多々あったので、何処かから逃げてきたのではないかとも思ったのだが、首輪をしていないことから身元を割り出すものが何も無く、なんだかんだの末結局我が家で飼う事になったのだ。
動物は嫌いじゃないが、どちらかというと犬派の俺は、コイツを飼う事に余り乗り気ではなかった。
が、もう一人の相棒に強引に押し切られる形で渋々了承したと言うのが現状である。
念のため主張しておくと、一応――とつくのがなんとも情けないが――この家の家主は俺である。
「はぁ…分かったよ。ちゃんと手を動かしますっ!」
半ばヤケクソ気味にそう言って、俺はノートパソコンのキーボードを打つ手を再開させた。
その傍らで相棒は何処か満足げににゃあと鳴く。
…こいつ、やっぱり編集部の回し者なんじゃねぇか?
つい本気でそんなことを思ってしまった。

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