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The Angel Cradle.

飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。

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坂本家の朝は実質、長男昌行の叫び声から始まる。

「剛~!!てめぇいいかげん起きやがれぇ~っ!!」
「・・・Zz」
ちょっとやそっとじゃびくともしない、まさに眠りの帝王である坂本家次男剛は今日も気持ちよさそうな寝息を立てて昌行の神経をこれでもかと言うほどに逆撫でしていた。
隣の部屋で寝ているはずの三男准一が昌行の絶叫で起きてしまわない辺り、彼らの血の繋がりを感じる所である。
「今日もサッカー部の朝練があんだろうがっ!!」
「・・・むにゃ」
「むにゃじゃねぇっ!!」
しかし昌行が声を枯らせてまで叫んだ所で剛が起きることは100%ないと言い切れる。
もはや強攻策に出るしかあるまい。
昌行はいつもの通りそう決心すると、掛け布団を勢いよく引っぺがし、剛をベッドの上から床へと勢いよく蹴り落とした。
・・・が、それだけではこのツワモノはまだ目を覚まさない。
昌行は剛の頭の傍で膝を付くと、右手で彼の鼻と口を覆った。


待つこと約一分。


「このクソ兄貴!!俺を殺す気かっ!!」
「死にたくなきゃさっさと起きろよ!!」
こんな風に剛が生死の境を朝っぱらから彷徨う事になるのも坂本家にとってはいつものことなのである。
(それで済ませていいのかどうかは判断が分かれる所ではあるが)


***********

以前どこかに載せた気がするけど、どこに載せたか分からなくなったので収納。

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