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The Angel Cradle.

飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。

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ここが終点じゃない事を、俺達は当然知っている。
俺達の乗った列車に終着駅はない。
だから今日までの十年はまだ旅の途中。
終点は見えない。

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「うっそぴょ~ん♪あはっ♪」
「うわっ、今時嘘ぴょんなんて言う人初めて見たし!」
「ありえねー」
「イノッチそれはあかんて」
「…(涙)」

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「なぁ真面目に告白するけど…」
「すんなよ」
「しないでよ」
「いや俺まだ何も…」
「だからすんなって」
「そうそう」
「…お前等なんか嫌いだ」

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ありえない。
こんな気持ちはありえない。

にぎりつぶしてしまえ、何もかも。
俺には俺しかないと言うことを、自覚するんだ。

『幸せ』などと口にはするな。
どう足掻いたところで、




悪魔は天使にはなれないのだから。

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眼下にはコンクリートジャングル。
聳え立つビル群。
排気にまみれた街に輝きは見えない。
希望も見えない。
夕焼けすら赤黒く禍々しく、
そこには美しさの欠片もない。

「こんな世界救う価値あんのかねぇ」
「ぷっ。カッコつけて心にも無い事言うんじゃねぇよ」
「そうそう。だいたい早く何とかしてやりたいって顔に書いてあるよ?」
「えっマジで!?どこどこ?」
「って近い近い!!」
「あはははは」
「あはあはあは」

笑い合う三人の男。
その瞳はどれも慈愛に満ちており、また慈悲深い。
赤から青へのグラデーションに染まる世界を見下ろして、
そこに僅かな可能性を見出そうとしている。

まだ終わらせるには惜しい世界に。


「さ、女神様に睨まれる前にちゃっちゃと仕事終わらせましょうや」
「女神様はもう光臨なされてるけどね」
「え?マジで?」
「お、本当だ。随分綺麗に見えてるな」

三人一様に見上げた空には、一粒の強い光を放つ星。
それは夜の帳を下ろし始めた空に爛々と輝く金星・・・宵の明星だ。

「のんびりしてたら宵の明星が明けの明星になっちゃうね」
「そりゃマズイな。よし、それじゃあ行くか」
『合点承知!』

一人の男の声に二人が頷き、三人は共に大地を蹴る。
そのまま彼らの体は落下することなくふわりと宙に浮き、その背には真っ白な翼が現れた。
鳥のようにしなやかに、羽音を響かせて羽ばたく大きな翼。
そう、彼らは人ではない。
真っ白き心で神に仕える穢れなき天界の使者、天使なのだ。

「・・・決めたんだ、守るって」

太陽が落ち、世界が赤から青に染まり変わる。
眼下には闇色に染まった世界。
今はただ、暗く沈んでしまっているけれど。
『かつての彼等』が愛した、何よりも愛しい場所。

「もうあそこは、俺たちの世界じゃないけどさ」
「でも、記憶はちゃんと俺たちの中に残ってるから」

だから。


守りたいのは、
ヴィーナスに見守られた、この世界。

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*AVIARY*


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