2010/05/05 (Wed) 存在。 【Masa＆Jun】

不安はいつでも付きまとっていて。
それを笑顔で乗り越えるのは、意外に大変な事だったりするわけで。
ふとした瞬間に表情が曇る。
それを目ざとく見つけるのは、いつだって決まってあの人だ。

「岡田」

余りに優しい声のトーン。
それは普段の彼からは想像もつかないもので。
ちょっと笑いたくなってしまうのは仕方のないことだと思う。

「なに？」

応えて見上げる。
昔よりは多少近くなったその距離。
そこにある、昔と変わらない厳しくも優しい目。

「何があったって、俺が絶対にお前たちを守ってやるから」

だから、大丈夫だ。
説得力のある深い声がまるで囁くように紡ぐ言葉。
正直、俺たちはもう守られなければ生きて行けないほど子供じゃない。
だけど。

「…うん」

与えられるその言葉に、つい頬が緩んでしまうことを許して欲しいんだ。