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The Angel Cradle.

飛び立つこともままならない。 座り込むことすら許されない。 僕らはいつも、不安定な足場の上に。

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子供じみた嫉妬心を、自覚したのは随分昔のことだ。

三人じゃなくて、二人と一人。
その間の溝を無理矢理飛び越えて押し入ろうとしたことは数知れない。
でもその度に思い知らされてしまうのだ。
自分の立ち位置というものを。

「…なんであいつはあんなに不貞腐れた顔してんだ?」
「え?あぁ、井ノ原のこと?さぁ。俺が来た時からずっとあぁだけど」

二人がけのソファに座っていた長野くんの隣に、そう言いながら座った坂本くんは渋い顔で俺を見る。
ごく自然な隣同志。
それがいつもの定位置。
だから余計にムカつく。
俺はいっつも置いてきぼりだ。

「…なんか、めちゃくちゃほっそい目に睨まれてるんだけど?」
「うわ、迫力あるんだかないんだか」
「おーい井ノ原ー?どうしたー?」
「よっちゃーん、そんな顔してないでこっちおいでよー」

ほら、いつだってそうだ。
あんたらは余裕綽々で、俺のことなんかほんの子ども扱い。
例え無理矢理横一列に並んだって、俺だけは一歩後ろに下がらされるんだ。
歳の差。
付き合いの差。
その他なんか諸々の、俺たちの間にある差。

「おい井ノ原?ほんとどうしたんだよ」
「何があったのか言ってくれなきゃ分からないぞ?」

心配が声に滲む。
…それが本心からだって分かってるから、余計にどうしようもない気持ちになるんだ。
俺は。
俺はね?

「お、おい、井ノ原?!」
「うわ!ちょっと!!」

二人がけのソファ。
二人が並ぶその間に、無理矢理身体をねじこんでみる。
定員オーバーのそれはギシギシと小さく悲鳴を上げたけど、そんなのはどうだっていい。
ついでに二人も苦しそうに「おい!」とか「なんなんだ!?」とか声を上げてるけど、そんなのもどうでもいい。
俺の思いを知らしめるために。
ちょっとの窮屈は我慢して。

「おい!狭いっつーの!!なんなんだ急に!」
「ちょっと井ノ原!?どうしたんだよ一体!」
「…妬いてんの!!」
『…はい?』

そうやって示し合わせなくても声が合っちゃうところとかもさ。

「『ツートップ』って、言葉にヤキモチ妬いてんの!俺は!!」

そう。
それが多分、全てなんだ。

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